機体#1 スピットファイアーLF, MKXVIe, SL 721, James Robb空軍中将、英空軍司令部,たぶんBovington基地/イギリス,1946年。
この機体はJames Robb空軍中将の個人使用機としてよく知られており,幾つかの保存機に類似(必ずしも正確ではありません)のマーキングが施されています。しかし彼が実際に搭乗した時のオリジナルなマーキングは文献1の写真にあります。全体の塗装はパウダーブルーと言われており、この文献中Michael Payne氏はPRUブルーと白の混合と言っていますが,正確な色は判りません。 文献2中にこの機体のイラストが載っていますが、文献1の写真と比べると(1)コードレターは直線には並んでおらず段状になっている,(2)コードレターは白ではなくスカイである(ラウンデルの白より少し暗い),(3)三星ペナントは赤い(ダークブルーではない)四角形に白星である(彼はいつも赤のペナントを使っていますし,ラウンデルの赤と同じ明度です)点で間違いがあります。左側のマーキングは写真がないので、下に示すのは我々の推定であります。この機体のガンベイは荷物入れに改良されており,機銃フェアリングは短い物に変えられています。胴体には戦時中のC1タイプラウンデルを描き,主翼上下面にはたぶんCタイプラウンデルが描かれていると思われます(写真でははっきりしません)。主翼下面にシリアル番号が描いてあるかどうかは不明ですが,我々は描かれていないと考えています(全体をライトブルーに塗っているので)。コックピットドアに描かれている小さな文字が何であるかは不明であり、このデカールに示してあるのは我々の推測であります。その後この機体は全面をダークブルーに塗りなおし(文献1,3,4),コードレターをひとまとめにしてラウンデルの後に描き、ラウンデルは戦後タイプのものに変わりました。空軍中将と三星ペナントは同じ位置にありますが、詳細不明の小さなバッジが右側の風防の下に描かれています。Robb中将はその後個人使用機を速度樹立機ミーティアF4,EE549に変えています。

機体#2、スピットファイアーLF, MKXVIe, TB900, Raymond A.F. Lallemant少佐,英空軍第349(ベルギー)スコードロン,Fassburg/ドイツ,1946年。
この機体もよく知られており,その写真は文献5に載っています。またこの塗装とマーキングはフロリダのFantasy of Flight 博物館の保存機に描かれました。この写真より鮮明なクローズアップ写真はMichel Willot氏およびFrank Raeman氏から頂きました。迷彩はRAFダークグリーン/オーシャングレー/メディアムシーグレーであり,コードレターはスカイです。少佐ペナントの前に描かれているものは時々(Hellerのキットのように)人物(ウィンストン・チャーチル?)の顔とされていますが,実際は鶏の顔です。胴体後部のシリアル番号は全部は描かれておらず,一部ダークグリーンで上塗りされています。右側は写真がありませんが,コードレターとシリアル番号の位置についての我々の推察を下に示しました。スピンナーはたぶんスカイ。Lallemantはベルギー空軍で5番目のエースで,5機撃墜,1機共同撃墜,1機不確実撃墜,1機地上撃破で、これらは全てタイフーン,PR−D,(この前の乗機)で記録されています。

機体#3、スピットファイアーLF MKXVIe, TD231, ベルギー空軍第350スコードロン,Fassburg/ドイツ,1946年。
この機体の写真は文献5にあります。迷彩はRAFダークグリーン/オーシャングレー/メディアムシーグレーであり,コードレターは白です。主翼上面のベルギーラウンデルには2種類あり、この機体にどちらのサイズのものが描かれたかははっきりしません。このデカールでは小さい方の物を入れてあります。

機体#4,スピットファイアーLF MKXVIe, TE199, 英空軍第21グループ司令官乗機,Swinderby基地,1948年9月。
この機体の写真は文献6にあり、全体は光沢のある黒で塗られています。文献5にあるイラストでは不思議なペナントが風防の下に描かれていますが、写真では背景の色は白ですが明らかに少将のペナントであることが判ります。文献7によりますと,そのマーキングは"光沢のある黒,全体に金のトリムがある"となっています。従ってスピンナーと主翼端(写真では見えませんが)は金色のはずです。シリアル番号も金色のようです。ラウンデルの黄色縁も金色かもしれませんが、たぶんそうではないでしょう。注目すべきはラウンデルの明るい色です。この明るい青と明るい赤の正確な色調は判りませんが、たぶん現在使われている物と同じと思います。この様な明るいラウンデルは戦時中の爆撃機の写真で時々見られます(文献8)。

謝辞;Lallemantのスピットファイアーの写真は松樹祐司氏を通じてMichel Willot氏(IPMSベルギー,KIT誌編集長)とFrank Raeman氏(曹長,ベルギー陸軍歴史部)から頂きました。ここに深謝いたします。